【レポート】第16回「ほっと一息。医ケア児とそのご家族の情報交換会&茶話会』開催しました
全5回開催予定の『ほっと一息。医ケア児とそのご家族の情報交換会&茶話会』。
第4回目となる11月10日(木)に開催された茶話会の全容をご報告します!
今回記事を書かせていただくのは、『家族のホンネ』で病気と共に生き抜いた娘との闘病生活をまとめた
『病気と共に生きるweb版』を書かせていただいている井上(▶自己紹介)です。
このたびの茶話会では、スタッフとして、医ケア児家族として、悩みを抱えていた当事者として、全5回すべて参加させていただく予定です!
よろしくお願いいたします。
情報交換会&茶話会第1回・第2回・第3回の振り返り
第1回から第3回まで、各回ごとに魅力がぎっしり!
開催ごとに違う学びをさせていただくことができました。
ぜひご覧ください♪
『ほっと一息。医療的ケア児とそのご家族のための情報交換会&茶話会』第1回 開催しました!
「医ケア児って?」「どんなところでしてるの?」「どんな人がどんな思いでなにするの?」という疑問にお答えしています!
『居場所づくり』が今回の茶話会の目的です。
だから『繋がりたい!』のです。
『ほっと一息。医療的ケア児とそのご家族のための情報交換会&茶話会』第2回 開催しました!
第2回では思わぬハプニングが起こりました!!!
でも、このハプニングが『学び』のキッカケになりました。
行動を起こさなければハプニングは起きませんが、行動を起こした先のハプニングは知るとこに繋がっていくのだということをみんなで学ぶことができた体験となりました。
『ピンチはチャンス!』頼ることは最大の武器!
当事者は「もしものときの対応」を学び、周りの人は「どう対処すればいいのか」知恵を出し合って考えたり、協力する姿勢を持つことができたり、扱ったことのない医療機器の詳しい説明を聞くことができて、とても学びの多い機会となりました。
一緒の時間を過ごせることの大切さをお互いに感じることもでき、いろんな繋がりに感謝できる時間となりました。
『ほっと一息。医療的ケア児とそのご家族のための情報交換会&茶話会』第3回 開催しました!
第3回では、当事者家族の思いや悩みを共有したり、当事者家族から支援者側へと自然と行動をはじめられた方の思いなども聞くことができ、いろんな「思い」を感じることができた貴重な1日となりました。
人と出会うことで、その人のお話を聞かせてもらうことで、はじめてその人の思いを知ることができます。
その思いは「だれかの幸せを願う」ものであったり、「だれかへ感謝の思い」があったり…巡り巡って繋がっている思いやりの心なのだと感じました。
『ひとはひとりでは生きられない』ということを改めて感じ、だからこそいろんな出会いに感謝して過ごしたいと思いました。
茶話会第4回の参加者さんとスタッフ紹介
今回は2組の医療的ケア児当事者家族がご参加くださいました。
まずは第1回から参加してくださっている、情報交換会&茶話会準レギュラーの杏(あん)ちゃん(5歳)とお母さん♪
(杏ちゃんの紹介は第1回情報交換会&茶話会から読んでみてください)
そして、もう1組は約1年前、2021年12月に開催された第8回楽しく防災キャンプ『ひなんピング』にもご参加くださっていた
陶守(すえもり)さんです。
こちらの2021年のイベントには、杏ちゃんもお姉ちゃんとお母さんと一緒に参加してくれていました♪
みんなの出会いはここからはじまっていたのですね。
すえもりさんの長男、蓮(れん)くん(5歳)は低酸素性虚血脳症(ていさんそせいきょけつのうしょう)になり、
国立病院岡山医療センターの医療チームに救われ一命をとりとめました。
必要な医療ケアは【胃ろう】です。
蓮くんは平日の日中は児童発達支援を利用していて、この日もきらり中庄を利用中でした。
蓮くんには弟と妹がいて、今回は妹ののんちゃん(6ヶ月)とお母さんの3人で一緒に参加してくれました。
そして、医療的ケア児家族当事者兼スタッフとして参加している大石さんと娘の恵愛(えまちゃん(2歳)。
大石さんは『家族のホンネ』でえまちゃんのことについて『えまママのホンネ』を書いてくれています。
詳しい病状などはこちらで読んでみてください。
今回はお父さんも一緒に参加してくれました!
こうやってお父さんも一緒にお出かけしてくれたり、こういう会に参加してくれたりすることって、本当にありがたいことです。
お父さんたちのお話も聞いてみたいので、ぜひ気軽にご参加くださいね♪
そして、私とぱらママのスタッフ1名での茶話会となりました。
それぞれの生活と繋げたい想い(杏ちゃんの場合)
今回も来てくれた杏ちゃんは今、術後のリハビリをこなす日々を送っています。
年末までは保育園をお休みしてデイサービスのすくすくyellさんを利用しているそうです。
そんな杏ちゃんの頑張りを一番近くで見守って、支えてきたお母さん。
杏ちゃんの保育園に入園前相談にいったとき、
「絶対にこけない?」と確認されたそうです。
「そのなにげない一言で、簡単に受け入れてもらえない現実を突きつけられたと感じたときは悲しかった」とお話ししてくださいました。
そういう気持ち、何度も経験します。
何が起こるか、未来を予測して断言できることなんて、なにひとつとしてあるはずがないのに…
「こけないか?」なんて、普通の子には絶対確認しませんよね。
子どもであろうと大人であろうと転ぶことはありますもんね。
だけどそれを確認してしまうのは、『怪我や病気を抱えている子どもを預かる』ということが、やっぱり通常の保育とは違ってくるからです。
私たち母親だって「もしものとき」に備えて、用心しなければならない施設側の思考も理解はしています。
それを承知してもらったうえで、預ける、預かるを成り立てたいのです。
みんなでその子の成長をそのときどきで対応しながら見守ることができる環境を整えてもらえるのが理想的です。
そういう居場所を探しているのです。
他の子のと同じように、できれば近くで。
だから、難病児を抱えるお母さんは幼稚園や保育園に事前に相談にいき、事情を説明して受け入れてもらえるかどうかを確認をしてまわります。
難病児を抱えて…やっぱり一番は心が疲れちゃいます。
この茶話会ではそんな通常の育児では体験しないような苦労や思いを共有して、子どもの成長を共に感じながら、今ある環境を見つめ、未来を笑顔で過ごしていけるように情報交換をしていける繋がりを求めているのです。
それぞれの生活と繋げたい想い(蓮くんの場合)
そんな、だれもがほしがる情報を網羅(もうら)していたのが、今回情報交換会&茶話会に初参加してくださった蓮くんのお母さん、
すえもりさんでした。
すえもりさんは蓮くんが産まれるまで医師をされていました。
でも、蓮くんが産まれ重症心身障害児の母となったときから働くことを諦めるしかなくなり、蓮くんと共にたくさんの壁にぶつかり、情報のなさに気づき、多くの支援施設に実際に足を運んで蓮くんと見学してまわったそうです。
すえもりさんは、「今は3人の子育てに手一杯だけど、落ち着いたら開業して、医師をしながら情報提供できる場所や、集える居場所を提供したいと考えている」と熱い夢を教えてくださいました。
自分たちがしてきた実体験があるからこそ、自信を持ってだれかにおすすめすることができる!
すえもりさんにしかできない特別なことだと思います。
2年前に思いをつづった『アンリーシュ作文コンテスト』にもその夢が書かれています。
この頃から変わらない想いを持ち続けているって素晴らしいですよね。
そんなすえもりさんが、実際に蓮くんと通園してみておすすめしたい!と教えてくださった岡山県内の障害児通所施設などを次の記事『みんなにも知ってほしい!障害児通所施設のこと』でご紹介します。
参考にされてみてはいかがでしょうか♪
まとめと伝えたい思い
今回来てくださったおふたりとお話をして、改めて感じたことがあります。
「障害児、難病児の子どもをもつ母親はどうやって過ごしているんだろう?」
14年間娘との闘病生活のなかでずっと私が感じていたこの疑問。
現代の障害児、難病児の子育てをしているお母さんたちも同じ疑問を抱き、不安と孤独と焦りのなかで生活しているということを痛感しました。
お子さんの病気や年齢は違っても、同じような不安や悩みを抱えていていたり、同じような情報を求めていたりするということです。
そういう思いや情報を互いに共有することができる居場所作りがしたいと改めて感じました。
私たちがこれからも大切にしていきたいのは
『つながる』
『分かちあう』
『共有する』
ということです。
今回も話題にあがった「実際にこういう場にはなかなか来ることができない方がいる」という現実があります。
はじめての場所に、はじめましての人に、出会いに行くことってとてもエネルギーを使いますよね。
病児を連れて来るとなると、大変さが何倍にも増えることになると思います。
通常のお出かけの準備、もしものときの準備、酸素の残量確認、機械の充電確認、医療用品の予備の準備、特殊なベビーカー、専用の車いすなど、家から車への移動だけでも一苦労。
そうやって数え切れない苦労を重ねてやっとお出かけをする。
そういう苦労に対して寄り添いたい想いで開いている会です。
昔の私自身もそういう場に行くことができずにいたのでよくわかります。
でも、そういう繋がりは子どもにとっても親にとってもきょうだい児にとっても、絶対に持っていたほうがいい!って思います。
頼れるもうひとつの居場所として。
私は人見知りですが、同じ悩みや喜びを共有できることって、人見知りの壁を越えて心地よさしかない空間になるんですね。
変に自分を作らなくていい。
無理しなくていい。
ありのままでいい。
そんな空間。
ここに今娘がいてくれたなら、親子共々どんなに幸せな時間を過ごせただろうか…と毎回思うんです。
それくらい良い集まりだと思います。
今後もこういった会を継続して開いていきたいと強く思える会となりました。
今回企画した全5回の茶話会。
次回11月24日(木)が最終日となりましたが
「ひとりじゃないよ!」
と、ひとりでも多くの人に伝わることを祈っています。
本事業は公益財団法人橋本財団の助成を受け、2022年4月より実施しています。