イベント・勉強会

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2024/10/24 避難訓練

災害時も安心!医療的ケア児のための避難訓練レポート【避難訓練実施 編】

災害時も安心!医療的ケア児のための避難訓練レポート【避難訓練実施 編】

ひなんピングの集大成である【避難訓練】を行うことができました!

今回はその詳細をお届けします。

実施を計画中の方々の参考になれば嬉しいです。

開催概要

開催日:2024年9月26日㈭ 快晴

対象者:大石恵愛(えま)ちゃん 骨形成不全症 2型

    大石さん一家

支援者:町内会防災会の皆様(町内会長・民生委員・愛育委員・体育委員)5名

    地域担当の保健師

    ぱらママスタッフ 3名

協力:指定避難場所の小学校

避難スタート

避難準備

避難に必要な準備が整ったら、安全を確認しながら避難場所への移動を開始します。

避難移動準備

リビングの掃き出し窓からえまちゃんを引き取ってもらい、あらかじめ準備していたベビーカーにえまちゃんを移動させます。

これは1人ではできない作業です。

酸素ボンベ

大量の荷物に加えて、最低限持っていきたい酸素ボンベが4本。

約16時間分の量です。

※1本あたり酸素1.5リットル流して4時間計算

ただし、泣いたりして酸素消費量が増えると、この計算は変わってきますので絶対に16時間もつということではありません。

避難用の荷物が多いため、急遽防災会の方が、荷車を持って来てくださいました。

さらに酸素ボンベは防災会の残りの方々が手分けをして持ち、出発します。

避難訓練

指定避難場所の小学校へは片道約400メートル。

ところどころに段差がありましたが、約8分で到着することができました。

避難訓練

小学校に到着

校内にも段差があり1人では進むことが厳しい場所もありました。

避難訓練

ここでは、2人でベビーカーをどのように持てば安定するかなどの検証を行うことができました。

避難訓練

そして、妊婦さんや発達障害の方など、配慮が必要な方の避難場所は体育館ではなく建物1階の理科室とのことでした。

これは大石さんも知らない情報だったので、今回、小学校の方から説明が聞けたことは、避難訓練の実施をするための、大きな意味の1つであったと思います。

避難場所である理科室ですが、配慮が必要な方々に開放されるということで医療的ケアが必要な方のみで使用ができるのではなく、妊婦さんや発達障害の方などと一緒に過ごすことになります。

確かに、医療的ケアが必要な方だけに1部屋を使用することは現実的に難しいと思います。

ただ、衛生面や他者との接触に制限のある方もいると思いますので、そのあたりの問題を解決する必要があると感じました。

避難訓練

理科室は、現在エアコンを設置する工事が入る予定ですが、来年まで設置がないとのことでした。

えまちゃんは体温調節が難しく、保冷剤や扇風機などを使ってカラダを冷やす必要があります。

「保冷剤の調達や保管など、体温調節はどうするか?」という課題が見えました。

また、避難先で寝かせておくスペースも硬い床しかないので、骨が折れやすい病気であるえまちゃんには適していないことも、現地で確認したことによって見えた課題でした。

そして発災後、避難所の救護室として開放される保健室にはベッドがあるので、優先的に使用させてもらえる話ができました。

避難訓練

避難訓練を終えて

大石典子さん(当事者家族)

「災害時の準備はしていたのですが、実際に避難訓練をしたことがなく、今回いろいろな気付きがありました。意外と準備に時間がかかることや実際にポータブル電源でどれくらい医療機器がもつか。どの道を通るのか。どの場所で助けが必要なのかとか。誰かの手をかりなきゃいけないこともあらためて痛感しました。ちょっと想像もできなかったことなので、いい機会をつくっていただいて、本当にありがとうございました。

【避難訓練前後での気持ちの変化】

改めて町内の方々とつながることの大切さを感じました。引っ越してきて4年程経過し、地域の方となかなか話す機会がなかったので、こうやって顔を合わせる機会をいただけてとても嬉しかったです。今後は積極的にコミュニケーションがとれたらいいなと思いました。」

秋友明美さん(防災会メンバー)

「病院から呼吸器をつけた方が帰ってこられたとだけきいていました。むやみやたらに聞けないので大石さんが声を上げてくれるのを待っていました。また、災害が多くどうされるのか気になっていました。今回、ものすごくいい経験をさせてもらいました。

年に一度地域の避難訓練を実施していますが、健常者や高齢者、お子さまも軽度の障害や自閉症の子などしか参加しておらず、重度の障害をお持ちの方で、訓練に参加する方はいらっしゃいませんでした。

実際に避難場所である理科室に入って、どう使うか、また電源が落ちた場合どうしたらいいのか、これからの課題も見つかりました。
町内の防災訓練で、プライバシーの範囲内で支援が必要なえまちゃんの存在を地域の方にも話したいです。

あとは、荷物が思った以上に多かったです。
荷車を持っている人が不在の場合、持ち運びが困難なので、大石さん宅にカートがあればいいなと思いました。

ぱらママスタッフ

「今回の避難訓練のために事前にパーソナルプランをたて、十分に想定しているつもりでしたが不十分でした

改めて、誰かの支えが必要なことを思い知りました。

持ち出し品は多いが、えまちゃんのものばかりで大石さんのものは一切入っていません。

そして防災会メンバーの皆さんも、ご自身が被災したら、助けに行くことも難しい状況になる可能性があります。

まずは、自分だけでも避難できるようにイッツミーというWEB上で管理できる個別避難計画書作成システムを作りました。

今日の避難訓練はまさに集大成です。いきなり避難訓練をやろうと思いましたが容易ではなく、想像以上に大変なことでした。

実施してみて気付いたことがたくさんありました

まず、大石さん自身が避難時に医療機器を動かすのに蓄電池で何時間もつのかということをご存じなかった

また、地域の方にご協力いただくという点においても、どうやって地域を巻き込むのかということも難しかった。

昔と違って地域とのつながりも薄れてきて、コロナ化でますますその傾向が加速した風潮はありましたが、今回の避難訓練を通して地域のつながりがもっとも大事だと今日あらためて痛感しました。

ひなんピングを4年間やってきて、どのような事業も「継続」するには、資金が必要です。

ビジネスプランコンテストで審査員特別賞をいただいたのですがそこからあまりつながりもなく、限界がきているなと感じています。

そこで、ホームページで情報を発信しつつ避難訓練を違う地域でもやりたいと言われたらアドバイスをしたり、避難訓練マニュアルというのを作っているのでそういうのを共有したりという形で関わっていけたらと考えています。」

最後に

避難訓練メンバー

NPO法人ぱらママはこの避難訓練の実施を全国に向けて推奨します!

今回避難訓練を行うことができたのは本当に幸運なことだったと思います。

少しのキッカケさえあれば助かる命がある。

それを心から感じることができた日でした。

頻発している自然災害を目の当たりにして、発災時の対応について、

当事者はもちろんのこと周りの方々も不安になっていることと思います。

住んでいる地域・環境は違えど、共助しながら命を守るということの重要性に違いはありません。

私たちの活動が少しでも不安に思っている方の役に立てることができでば嬉しいです。

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