第3章3-4④社会との関わり
社会的支援の不親切さ
知識のないまま椿と必死に生きる日々のなか、「障害者手帳持ってないの?」と病院のスタッフに驚かれました。
「市役所に行けば作れるからすぐ作っておいで」と言われ、主治医に診断書を書いてもらい平成21年に『障害者手帳1級1種』を取得しました。
椿が産まれ病気が発覚してから3年の月日が経ってやっと受けられる支援があるのだということに気づいたのです。
それまでそれを教えてくれる人はいませんでした。
障害者手帳を作りに行ったその場で「他に受けられる支援はありますか?」と、自分から役所の方に質問し、教えてもらうことができました。
「知っている」前提だから教えてもらえないのか…
支援とは自分で情報収集をして辿り着かなければいけないものではないと思うのですが、私の場合は自分から支援を求めて見つけるスタイルでした。
そのため、せっかく受けられる支援があったのに何年も受けずに過ごしていました。
また、住居を転々としたことも生きづらさに繋がりました。
椿が産まれてから、倉敷市→岡山中区→岡山東区→倉敷市→岡山北区と移住しました。
その都度、住民票の転居届けからはじまり、椿の病気関係の複数の書類の住所変更、市町村をまたいだことにより支援内容の変更なども余儀なくされました。
決まりだからしなくてはいけないとは理解しますが、もっと簡易的にしてほしいです。
現代ではマイナンバーの普及や、コロナ禍での書類の簡易化が進んでいるのではないかと想像していますが、まだまだ省ける手間はたくさんあるように思います。
マイナンバーで管理されているのであれば、子どもも親も医療関係や子どもの援助に関わる書類はネット上で済ませられるようにしてほしいです。
なぜなら、難病や障がいを抱えた人たちは動きづらいからです。介護のため常に子どもといっしょに行動しなければならなかったり、その子どもが感染リスクが高い場合も多いからです。
少しでも簡易的になって、無駄に役所に出向かなくてもいいようにシステム化してほしいです。
また一番解決してもらいたい案件は、子どもが死亡してからの各種処理手続きです。
児童手当・障害者手帳・医療手当・特定慢性疾患受給者証など、死亡届とは別にこれまで使用していたものを各役所へ直接返却に行き、書類を書いて解約の手続きをしなければなりませんでした。
死後1ヶ月も経っていない状況で、その都度窓口に「子どもが亡くなったので返却に来ました」と言わなければならない親の気持ちを考えて頂きたいです。
死亡届を出した時点で全て解約されるシステムにしてほしいと強く要望します。
家族が闘病する=介護中心の生活になる
家族が闘病するということは、生活の中心が介護になるということです。
命が最優先に考えられ、椿を中心に家族の生活がまわっていました。
特に身近で世話をしてきたわたしの頭の中は、9割が椿のことでいっぱいになってしまうくらい大変でした。
そうはいっても、もちろん家族みんなが大切です。
バランス良く、みんなを愛したいです。
病気ばかりがフォーカスされて、他の家族のだれかの心が壊れてしまったら、それは良くないことです。
家族が安心して過ごすためには、周りの理解や助けを受けられる環境作りをする必要があります。
そしてなにより、介護に関わる人がひとりで抱え込まず、周りに頼れることが大切です。
そのための支援の輪も少しずつ増えてきたように思います。
そういった援助と気軽に繋がれたり利用できたりすることで、闘病する家族の在り方は苦しいものではなく、前向きな方向でいっしょにがんばれるようになるのではないかと思います。
※地域の相談支援員、ソーシャルワーカーなど頼れる先を明確にして、だれでも知ることができて、気軽に利用できるようにしてくれていると、闘病する家族も安心して、自分たちを大切にしながらより良い暮らしができると思います。
闘病生活から学んだこと
頼れるところに素直に頼ることが大事。
家族、親族、友人、地域の人、職場の人、関わってくれる人たちに「助けて」と言って良いのです。
その道の専門の人に安心して任せて良い。頼られるために専門的に学んでくれたのだから大丈夫。
地域の相談員、支援員、保健師、託児所などの施設、園の先生、学校の先生、学童の先生、病院の先生、看護師、ソーシャルワーカー、心理士、保育士、リハビリの先生など…その道のプロが“家族にとって1番いい方法”を一緒に考えてくれます。
受けられる支援があるかどうか役所や病院に問い合わせてみよう!
各地市町村で受けられる支援が異なるようなので、ぜひ、お住まいの役所へお問い合わせください!病院によってはソーシャルワーカーや相談支援員に問い合わせてみても詳しく教えてもらえるかもしれません。受けられる支援は全て活用して少しでも充実した暮らしを手に入れましょう!
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2-9 ①発達障害とは?
2-10 ①命のカウントダウン
2-11 ①最期の14日間-1
3-1 ①病気と共にある生活とは
3-2 ①闘病と家族の在り方
3-3 ①医療との関わり
④社会との関わり
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