ホンネ

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2022/07/06

第2章2-5 ②ペースメーカーのおはなし

第2章2-5 ②ペースメーカーのおはなし

ペースメーカーが体内のどこに埋め込まれるか知っていますか?

ペースメーカーの具体的なはたらきについて知っていますか?

ここではペースメーカーについて詳しくおはなししていきます。

◆ペースメーカーに関係する手術は合計3回

2009年 ペースメーカーを埋め込む手術(2歳5ヶ月)

2013年 ペースメーカーのリード入れ替え手術(6歳)

2014年 ペースメーカーの入れ替え手術(8歳)

ペースメーカーのはたらき

ペースメーカーを入れていると聞くとどんなイメージを持ちますか?

心臓が悪いのかな?くらいは想像がつくと思います。

では、ペースメーカーの具体的なはたらきについて知っていますか?

患者の個人差はあると思いますが、ペースメーカーを入れているからといって、
常にペースメーカーが心臓を動かしているわけではありません。

実際のペースメーカーの役割は「心臓の働きを補助すること」なんですよ!

椿の場合は頻拍(脈が早くなる毎分250回)の症状がひどかったため、早くなりすぎてしまう脈を落ち着かせるために、
内服薬【タンボコール】で脈拍数が遅くなるように調整しました。

内服薬【タンボコール】によって脈拍数が遅くなり過ぎるリスクもあります。
そのため、脈拍数が60以下にならないように補助してもらうための管理役としてペースメーカーをお守りとして入れたようなイメージです。

ペースメーカーは24時間心臓を監視していて、脈拍数が低下したとき(椿は60以下)に、
ペースメーカーが作動して心臓に微力な電気で刺激を与えます。

そうすると、心臓が電気に反応して動き、収縮することができるのです。

実際は本人の心臓ががんばって動いてくれていたので、ペースメーカーが作動することはほとんどありませんでした。

ですが、あまり起きないペースメーカーのリード断線が起きてしまい、小学1年生の時に断線したリードを入れ替えるための手術を受けました。

ひなんピング 医ケア児 ペースメーカー
ひなんピング 医ケア児 ペースメーカー

赤丸部分の切れているところが、ペースメーカーのリードが断線した部分です。

断線してしまったリードは心臓に癒着(ゆちゃく)してしまっていたので取り出すことは難しく、
そのまま体内に残すことになりました。

新しく別のリードを入れて繋げてもらいました。

そしてその1年後、ペースメーカーの電池の消耗のため(通常5年ほどで交換)
小学2年生の時に再びペースメーカー自体を入れ替える手術を受けました。

ひなんピング 医ケア児 ペースメーカー

ペースメーカーの居場所

ペースメーカーが体内のどこに埋め込まれるか知っていますか?

私は、椿がペースメーカーを入れるまでは心臓に近い胸のあたりに入れると思っていました。

でも、不思議に思い先生に質問しました。
「大人は胸のあたりに入れるスペースがあると思うのですが、
子どもは入れるようなスペースはないですよね?どこに入れるようになるんですか?」と。

「そうですね。大人は鎖骨あたりにスペースがあるので心臓に近い場所に入れるようになります。
でも子どもさんの場合は、まだ未発達でペースメーカーを入れるスペースはありませんので腹部になります。
左下腹部の皮膚にポケットを作ってそのポケットにペースメーカーを入れて、
体内にリードを通して心臓に繋がるようになります。」
と先生が教えてくださいました。

ひなんピング 医ケア児 ペースメーカー

椿はこの赤丸部分にペースメーカーが入っていました。

よく見るとペースメーカーの形が少し確認できる程度に浮き上がっています。

手で触ると皮膚のすぐ下にペースメーカーがあることが確認できます。

【ペースメーカーの注意事項】

・挿入部付近20cm範囲内に磁気のあるものを近づけない

(身近なものでは、携帯電話・ゲーム機・電子レンジ・IH調理器など)

・磁石も同様に腹部に近づけないように注意する

・鉄棒など腹部を圧迫する行為は避ける

・ぶつからないように注意する

もし、磁気があるものを近づけてしまった場合、ペースメーカーが誤作動を起こしてしまう可能性があります。

本人は気持ち悪いなど体調の変化がおこります。

対処としてはしばらく横になって休むこと。医師に相談して、必要であれば受診します。

ペースメーカーの点検

実際に椿が使っていたペースメーカー

ペースメーカーの点検はペースメーカーの業者が定期的に行います。

椿は半年を目処に点検してもらっていました。

病院の外来時や入院時に、主治医から業者に声をかけ病院内で機械の点検をしてくれます。

ペースメーカーの上にドーナツ状の機械を置いて点検をします。それまでのペースメーカーの動作がペースメーカー自体に記録されていて、外部の機械で出力することができます。ペースメーカーの電池残量もわかるし、ペーシングの細かな指示変更も可能です。

椿は横になって転がっているだけで済む簡単な検査です。身体に負担なくできるので安心でした。

【関連記事】

『病気と共に生きる』もくじ

1-1 椿の軌跡 

1-2 椿のカルテ

2-1 心臓病のお話

2-2 椿の病気発覚

2-3 椿の病気解説 

2-4 グレン手術と合併症

2-5 ①フォンタン手術と術前治療

      ②ペースメーカーのおはなし

      ③フォンタン手術後の生活

2-6 ①フォンタン術後症候群

      ②はじめての余命宣告

2-7 ①難治性腹水と腸閉塞と臍ヘルニア手術

      ②病院外で生活するために

      ③「チーム椿」の結成!

2-8 ①発達障害発覚までの経緯-1

      ②発達障害発覚までの経緯-2

      ③発達障害発覚までの経緯-3

      ④発達障害発覚までの経緯-4

      ⑤発達障害と難治性腹水の治療の関係

2-9 ①発達障害とは?

      ②本人へ伝える

      ③発達障害の治療は支援?

      ④取り組んだこと

      ⑤時にはお互い休憩も大事

      ⑥もしわが子が発達障害かもしれないと思ったら…

      ⑦社会的支援について

2-10 ①命のカウントダウン

        ②余命宣告後の過ごし方

2-11 ①最期の14日間-1

        ②最期の14日間-2

        ③椿の生きた最期の1日

        ④椿、旅立ちの日