第3章3-3⑪医療との関わり
訪問診療の紹介②
【出典:医療法人高杉会高杉こどもクリニック】
倉敷中央病院の主治医だった荻野先生が産休から戻ってきた3月ごろに、連携が取りやすいように小児循環器にくわしい先生がいる地域の小児科、高杉こどもクリニックに変更になりました。
このクリニックもこの時期に新しく小児の訪問診療をはじめることになったそうで、病院同士で引き継ぎをしてくれたこともあり、こちらの負担なく切り替えることができました。
高杉こどもクリニックの訪問診療の菊本先生は小児神経科を専門にされていたこともあり、のちに発達障害が判明したときにとても心強かったです。
訪問診療に来てくれたとき、まず「どう関わっていくか」の話し合いをしてくれました。
このころ、椿の水分摂取量や、過剰な塩分摂取などがどんどん過激になっていった経緯もあり、自分の行いでさらに身体が弱っていく椿と向き合っていくなかで、わたしたち家族もどうしていくのが「正解」なのかずっと目標を定められずにいたように思います。
わたしが椿を育ててきたなかで大事にしてきたことは「自立」です。
椿の人生はほかの誰でもない椿だけのものです。
椿自身の言葉で、椿自身のからだで、椿が思う幸せをつかんでほしいと願って育ててきました。
病気だからと甘やかさず、身のまわりのことが自分でできるように、家の用事もできる範囲で手伝ってもらい、学校に行ける日はなるべく学校へ行き、たくさんの人と関わっていくなかで、自分の理想とする生活を見つけてほしい、自分の理想に近づけられるよう自立した人間になってほしいと導いてきたつもりです。
いくら病気でしんどくても、椿の未来を諦めたくなかったのです。
先生にその想いを伝えたときに、そのためには椿自身が病気と向き合い「自己管理」ができるようになることが今の課題なのだと改めて認識することができました。
菊本先生の方針とわたしたち家族の方針が近いものだったこともあり、それまで平行線だった問題を、先生といっしょに少しずつ深堀りすることができ、解決の糸口になっていきました。
長くつらい闘病生活のなかで見失いかけていたこと、世の中で生きるために大事なことをいっしょに、真剣に考えて導いてくださったことにとても感謝しています。
訪問薬局の紹介
【出典:アイビー薬局 一宮店】
訪問薬局も倉敷中央病院からの紹介で、アイビー薬局が来てくれました。
利用しはじめのころは、倉敷中央病院からお薬が出ていたので、関わりがあまりありませんでしたが、カンファレンスにはいつも参加してくれていました。
薬局は、お薬を出してもらうところという印象しかなかったのが正直なところですが、はじめてお薬を届けてくれたときは宅配薬局システムに感動したのを覚えています。
それまでは、病院に受診して、処方箋を出してもらって、それを薬局に持って行って、お薬を作ってもらっている時間待って、お薬をもらって、会計を済ませて帰る。という何個ものミッションをこなさなければならなかったのに、なにもしなくてもお薬が自宅に届くなんて便利すぎでした。
訪問診療の先生としっかり連携をとってくれていたので、わたしたちは安心してお薬が届くのを待っていればいいだけでした。
モルヒネが処方されはじめたとき、粉末で処方されていまいした。
椿はそれが飲みづらくて、相談したらカプセルに詰めて飲むといいと教えてくれました。
さっそく近くの薬局で粉薬を詰めることができるカプセルを買ってきて、粉末で処方されるモルヒネを、カプセルに小分けにして飲ませていました。
これが結構大変で、訪問診療の先生に相談したところ、訪問薬局の方でモルヒネをカプセルに小分けにする作業も対応してくださりとても助かりました。
とても寄り添いの感じられる優しい方が担当についてくれ、関わっていくほどに、訪問薬局は、訪問医療の縁の下の力持ちなのだという印象に変わりました。
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2-10 ①命のカウントダウン
2-11 ①最期の14日間-1
3-1 ①病気と共にある生活とは
3-2 ①闘病と家族の在り方
3-3 ①医療との関わり
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