第2章2-1心臓病のお話
通常の心臓のしくみとはたらき
まずは通常の心臓のしくみと働きを確認しましょう!
通常の心臓は、4つの部屋からできています。
それぞれの部屋の間には、血液が逆流しないようにするための弁があります。
全身から返ってくる酸素の少ない赤黒い静脈の血液は、まず右心房に集められ、三尖弁という大きな弁を経て右心室に入ります。右心室は力強く収縮して、血液を肺に送り出します。
肺を通って酸素をたくさん取り入れ、真っ赤になった動脈血は、いったん左心房に集められ、僧帽弁という大きな弁を通過して左心室に入ります。左心室は力強く収縮し、動脈の血液を全身の隅々まで送り出します。
全身の筋肉や臓器で酸素を放出して、二酸化炭素を回収した血液は、静脈血となって再び心臓に戻ってきます。
子どもの心臓病は大きく分けて3つのタイプ!
子どもの心臓病は、大きく分けて3つのタイプがあります。
①生まれつき心臓の形と機能に異常のある「先天性心疾患」
②主に乳幼児に発熱と発疹で始まり、心臓の冠動脈に病変を残す「川崎病」
③学校検診でみつかる「不整脈」や「心筋症」
自然に治ってしまうほど軽い人もいれば、
何回か手術をしなければならない人
心臓に負担をかけないよう運動を制限している人
残念ながら完全な治療ができない人
など、さまざまな人がいます。
ずっと薬を飲み続けながら、運動制限で済む軽症の人もいれば、外科手術やペースメーカーという心臓の働きを助ける器械を装着する重症の人もいます。
心臓移植が唯一の治療という重症の人もいます。
心臓病の人は症状が出なければ普通の人と見た目は変わりません。
しかし、症状が出ないよう、運動や日常生活に制限をかけて、自分で病気を調節しながら社会のなかで懸命に生きています。
特に、心臓病を持つ子どもは、他の子どもと同じように遊ぶことや登校することができないこともあり、心の痛みを感じながら生活しています。
先天性心疾患は100人に1人!?
先天性心疾患を細かく分類すると全部で22種類もあるって知っていますか?
およそ100人に1人は、生まれたときに心臓に何らかの問題を持っています。
生まれたときから心臓に異常がある病気を「先天性心疾患」といいます。
原因は多くの因子が複雑に影響して起こるとされており、特定できないことがほとんどです。
遺伝的な要因もありますが、90%以上が種々の環境因子が組み合わされた結果によるといわれています。
多くの場合、原因は不明とされています。
この30年ほど、100人に1人という確率は変化しておらず、生活環境や社会の様相の変化とは関係がなく、生命の誕生過程で起こるわずかな変化が臓器の発育と形成に異常を及ぼすと考えられます。しかし、この100人に1人という数字は、元気に生まれてきた赤ちゃんの数です。彼らは生きる力があって生まれてきたのです(つまり出生してこられないで亡くなる胎児もいるということです)。
先天性心疾患を細かく分類すると、なんと22種類もあります。
先天性心疾患には多くの種類の病気があり、同じ病名でも症状の重さは異なります。
同じ病名でも症状が異なるため、ひとりひとりにあった治療や生活環境が必要になるということです。
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