ホンネ

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2022/10/07 井上つばき

第2章2-9⑤時にはお互い休憩も大事

第2章2-9⑤時にはお互い休憩も大事

日常を過ごしているなかで起きる問題は本当にたくさんあります。

「捉え方」「考え方」「やり方」が変わったとしても、すべてがすぐにいい方向に進むわけではありません。

本当に地道に、共に、進んでいくものだと思います。

だから、疲れるときがあってあたりまえなんです。

お母さんも子どももロボットじゃない。

たまには休憩して、心を休めて

また共に笑顔で進めるように…

時にはお互い休憩も大事

親が向き合って一緒に取り組んでいくことは、子どもにとって重要なポイントだと思います。

でも実際、毎日きちんと向き合えることばかりではありません。

いろんなことが起こります。

子どもが大切だけど、近すぎて見失うこともあります。

自分の体調だってあります。

さらに、椿のような難病児の育児では、特に母子の関係性が、通常よりも濃厚なものになる場合が多くみられます。

度重なる入退院による不規則な生活は、社会との関係も築きにくいです。

頑張れば通常の生活を送ることができる場合も多く、
支援を受けるまでもない中途半端な生活になることもあります。

自宅で母と子、ふたりきりで過ごす時間も多くなり、入院中も母子で隔離された密室で過ごす時間の中で、
依存してしまい自立を目指すのが難しくなるケースもあると思います。

一生懸命できることは大切ですが、時には立ち止まって振り返ってみたり、小さな成長をかみしめる時間を持てるといいと思います。

そんな時は『レスパイトケア』をしてみるのもひとつの手かもしれません。

レスパイトケアをして、無理せず、長く続けることがポイントだと思います。

発達障害 医ケア児 心臓病
母と椿の仲直りデート。母がピンク椿は水色のお揃いマフラーをプレゼントしてご機嫌な椿

レスパイトケアとは?

“レスパイト(respite)「レスパイト」とは英語で、「小休止」「息抜き」「休息」といった意味を表す言葉です。

休みなく続く育児で疲れてしまったときやワンオペ育児で余裕がないとき、保護者が休息をとり、リフレッシュすることは非常に大切です。”

【引用:ワンオペ、発達障害育児に疲れたら、公的レスパイトの活用を。ショートステイ、移動支援、日中一時支援、居宅介護など費用補助もあるサービスを紹介-LITALICOジュニア

私も一度、椿の療育の入所施設を探している途中、椿と向き合うことにも、施設を探すことにも疲れきってしまい、
精神的に限界になったときがありました。

訪問看護師に相談したところ「レスパイトしてみては?」と提案されたことがありました。

でも私の精神状態とともに椿の身体が悲鳴をあげたこともあり、実際に利用するまでには至りませんでした。

私はあのとき、ただ「レスパイトケア」というものがあるという事実を知ることができただけでも、救われたような気がしました。

子どもと向き合うことに疲れてしまった自分が情けなく、母親失格なのではないかと思いつめていたので、
そういう風に休憩してもいいんだよと提案されたことに安堵したのを覚えています。

発達障害 医ケア児 心臓病
毎年家族で観に行っていた奥津渓の紅葉。大好きなタンの串焼きにかぶりつく椿

レスパイトケアを受けられる場所

少し調べてみると老人介護に関するレスパイトケアは充実してきているようですが、小児はまだ少ないのかもしれません。

LICOLITA発達ナビ】を参考に簡単に書き出しておきますが、各地域、各施設で活動内容はさまざまだと思います。

◎ショートステイ(短期入所)

「障害福祉サービス」

宿泊を伴って最大で連続30日間利用することができ、介護者の病気や体調不良のほか、出張や旅行、休息をとりたいなどの理由で利用が可能

◎日中一時支援

「地域生活支援事業」

障害者支援施設や児童福祉施設等で日中活動の場を確保する、預かりサービス。宿泊を伴わない支援

◎居宅介護(ホームヘルプ)

「障害福祉サービス」

自宅にて、入浴・排せつ・食事など家事や生活等に関する介護や相談・その他の生活全般にわたる支援

◎児童発達支援・放課後等デイサービス

「通所支援サービス」

各事業所によってそのサービス内容が異なる。

・習い事や療育に特化た支援

・日中や放課後の預かり型支援

◎移動支援

「地域生活支援事業」

ガイドヘルパーによる外出の支援。市区町村によっては、通学や通園の移動支援を行う場合も。

また、類似サービスとして「同行援護」「行動援護」がある。

同行援護は視覚障害者対象

行動援護は重度の知的障害、精神障害者対象

◎一時預かり事業

「未就学けの支援サービス」

児向保育所、幼稚園、認定子ども園、地域子育て支援拠点などが一時的に子どもを預かる。別名「一時保育」

気負いせず、気軽に休憩が取れる場所ができるのはとても良いことだと思うので、自分の生活スタイルに合った居場所を見つけてみてください。

【参考:ワンオペ、発達障害育児に疲れたら、公的レスパイトの活用を。ショートステイ、移動支援、日中一時支援、居宅介護など費用補助もあるサービスを紹介-LITALICOジュニア

【関連記事】

『病気と共に生きる』もくじ

1-1 椿の軌跡 

1-2 椿のカルテ

2-1 心臓病のお話

2-2 椿の病気発覚

2-3 椿の病気解説 

2-4 グレン手術と合併症

2-5 ①フォンタン手術と術前治療

      ②ペースメーカーのおはなし

      ③フォンタン手術後の生活

2-6 ①フォンタン術後症候群

      ②はじめての余命宣告

2-7 ①難治性腹水と腸閉塞と臍ヘルニア手術

      ②病院外で生活するために

      ③「チーム椿」の結成!

2-8 ①発達障害発覚までの経緯-1

      ②発達障害発覚までの経緯-2

      ③発達障害発覚までの経緯-3

      ④発達障害発覚までの経緯-4

      ⑤発達障害と難治性腹水の治療の関係

2-9 ①発達障害とは?

      ②本人へ伝える

      ③発達障害の治療は支援?

      ④取り組んだこと

      ⑤時にはお互い休憩も大事

      ⑥もしわが子が発達障害かもしれないと思ったら…

      ⑦社会的支援について

2-10 ①命のカウントダウン

        ②余命宣告後の過ごし方

2-11 ①最期の14日間-1

        ②最期の14日間-2

        ③椿の生きた最期の1日

        ④椿、旅立ちの日