第2章2-9①発達障害とは?
発達障害と聞いてみなさんはどんなイメージを持ちますか?
たいていの場合よくないイメージをもってしまうのではないでしょうか?
そういうイメージに苦しんで生活している人も多くいるのではないかと想像しています。
イメージだけで判断するのではなく、正しく理解してほしいと願います。
私は椿が発達障害だと知ったあと、
発達障害であることは、『自分が理解して向き合うこと』『周りに理解してもらい協力してもらうこと』が大切だと感じました。
みなさんにも発達障害について正しく理解してほしいという想いから、私の理解している範囲で説明してみます。
発達障害は軽度から重度と症状もさまざまです。
一見しただけではその特性や苦労がわかりにくく、親の育て方や本人の努力不足などと誤解されやすい障害です。
また、抱える困難、持っている能力や個性、希望等もさまざまなため、その人の特性や状況に応じた理解と支援が必要となってきます。
社会的にデリケートな問題も多く、発達障害の診断を受けず『グレーゾーン』として生活している子どもも多くいます。
発達障害とは?
発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達のかたよりによる障害です。
幼少期のうちから症状が現れてくることがほとんどで、対人関係やコミュニケーションに問題を抱えたり、
落ち着きがなかったり、仕事や家事をうまくこなせなかたったり、得意・不得意の特性と、
その人が過ごす環境や周囲の人との関わりのミスマッチから、社会生活に困難が発生します。
自閉症スペクトラム(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、チック障害、吃音(症)などに分類されます。
中には複数のタイプの発達障害がある人も少なくありません。
発達障害は外見からは分かりにくく、その症状や困りごとは十人十色です。
そのため、発達障害の特性を「自分勝手」「わがまま」「困った子」などと捉えられ、「怠けている」「親の育て方が悪い」などと批判されることも少なくありません。
しかし、特性ゆえの困難さは、環境を調整し、特性に合った学びの機会を用意することで、軽減されると言われています。
お子さまと周囲の人がその子の個性・能力・希望などを理解した上で、その子に合ったサポートをしていくことが大切です。
【参考:発達障害とは?種類・症状・進路・発達支援の重要性について-LITALICOジュニア–】
私も実際、椿に対して小学6年生の終わりくらいから「自分勝手」「わがまま」「なまけている」と思って接するようになっていました。
病気のことがあるから、周りから特別扱いしてもらう中でそうなってしまったのか、
私の育て方が悪かったのか、と考えるようになっていきました。
このころから椿の「自立」について本気で考えるようになりました。(詳しくは第3章でお話しします)
発達障害の3つの種類とそれぞれの困りごと
【出典:発達障害とは?種類・症状・進路・発達支援の重要性について-LITALICOジュニア-】
●自閉症スペクトラム【ASD】
自閉症スペクトラム障害は、自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害などが統合されてできた診断名です。
英名のAutism Spectrum Disorderの頭文字をとってASDと略されることもあります。
主な特徴として
①社会的コミュニケーションや対人関係の困難さ
②限定された行動、興味、反復行動
などがあり、感覚に関する過敏性や鈍感性を伴うこともあります。
◎困りごと
・言葉の遅れ
・周囲とのコミュニケーションが苦手
・こだわりが強い・変化が苦手
・癇癪(かんしゃく)・自傷行為
・感覚過敏(かんかくかびん)
・感覚鈍麻(かんかくどんま)
●ADHD【注意欠損・多動症】
ADHDは、注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害とも呼ばれ、不注意(集中力がない)、
多動性(じっとしていられない)、衝動性(思いつくと行動してしまう)といった症状が見られる障害です。
その特性により授業中、集中することが難しかったり、忘れ物が多かったりすることがあり、叱られることが多くなりがちです。
叱られることが増えていくと、自信を失い、追い詰められてしまうということもあるので、特性を理解し接することが大切です。
◎困りごと
・課題に集中できない
・忘れ物や不注意が目立つ
・我慢ができない
・感情がコントロールできない
・行動がコントロールできない
・多動・衝動性
●学習障害【LD】
学習障害(Learning Disabilities:LD)とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、
「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力に困難が生じる発達障害のことです。
◎困りごと
『読字障害』
(にじんで見える、ゆらいで見える、鏡文字のように左右逆さまに見える、かすんで見える)
・ひらがなの音読が遅く、読み間違える
・読んでいる文字や文章の意味を理解することが難しい
・文章を読むのがたどたどしく、文章の内容(あらすじ)をつかんだりまとめたりすることが難しい
『書字障害』
・バランスのとれた文字を書くことが難しい
・文章を書く時に助詞などをうまく使いこなせない
・板書など書き写しの速度が極端に遅い
・考えた内容を書いて表現することが難しい
『算数障害』
・数の概念が身につかず、数系列の規則性などの習得が難しい
・計算を習得することが難しい
・文章題を解くのが難しい
【参考:発達障害とは?種類・症状・進路・発達支援の重要性について-LITALICOジュニア–】
女性の発達障害「ADHDの特徴」
椿に発達障害の診断がつき、一緒に「発達障害」を理解しようと調べたところ、
近年になり注目されはじめたことですが、女性の発達障害は気づかれにくく、大人になってから発覚することも多いようです。
私が購入した著書『女性のADHDサポートブック』にも女の子の発達障害は7~12歳で発見されることが多いと記されていました。
椿の場合は発見が遅れてしまったために周囲の理解がなく、がんばらせすぎてしまい
『二次障害』(発見が遅くこじらせてしまった状態)になってしまっていたと思われます。
他の病気のように発達障害だから「こういう症状がある」と決まっているわけではなく、それぞれに個性があり「特性」があります。
椿の発達障害の発見が遅れてしまったように困っている人もいるのではないかと思うので「女性のADHDの特徴」についての説明を下記にまとめています。
「女性のADHDの特徴」
【参考:最新図解女性のADHDサポートブックP.2~3『知っていますか?女性のADHD』
榊原洋一・高山恵子,株式会社ナツメ社,2019年12月2日初版】
椿にみられた特性や困りごと
◎椿にみられた困りごと
・気が散りやすい、集中力がない
・リセットされる
・何度も同じことを注意される
・忘れ物が多い
・物をなくしやすい
・後先を考えず行動する
・人数が多いのが苦手
・大きな音が苦手
・疲れやすい、朝が弱い
・周囲の人に興味を示さない
・ちょっとした事でイライラする
・癇癪を起こす
・計画的に物事を考えるのが苦手
・時間が守れない
・勉強が苦手
・ひらがなや漢字を反転して覚える
・前日理解していた勉強も次の日には忘れる
・文章を書くのが遅くすぐ疲れる
・話に主語がなく突然はじまる
一見して「性格」だと思いがちなところばかりですが、本人は自分でコントロールすることも、
伝えることもできず、周囲にも理解してもらえず、とても困っていたのです。
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