第3章3-5⑧教育との関わり
問題発生
問題点④友人関係
近辺の2校の小学校が1つの中学校に集まった作りで、すでに仲良しグループができている状態でした。
生徒数が少ない学校なこともあり、仲良しの密度が濃いように感じました。
すでにできあがっているグループに少し入れてもらうことはできても、この頃から目立ちはじめていた椿のASD、ADHDの特性から「他者とのコミュニケーションの困難さ」が浮き彫りになっていきました。
入学前の学用品を購入するときから、椿をすぐに気に入ってくれて「かわいい!」と寄ってきてくれた1人の女の子がいました。
この中学校に通っていた2年間、その子だけが椿の友人で親友だったと椿から聞いていました。
その他の同級生も優しくしてくれていたけど、椿が心を開けるほどの交友関係を築けなかったのかもしれません。
1年生のころ、「〇〇(椿と仲良くしてくれている子)ちゃんって、椿ちゃんの『お世話してあげてる』って感じだよね。偽善者って感じ。それって友達なん?」と言った同級生がいたそうです。
突然ぶつけられた率直な意見でした。
椿はそれについて「偽善だとしても一緒に居てくれるならそれでもいい。」と言っていました。
ある程度お世話してもらわないと同級生の子たちと同じレベルで過ごせなかった事実を、椿も私も経験してきているから…それでもそばに居てくれることが有り難いと思っていたのです。
以前住んでいた地域に住んでいる、椿のもう1人の親友も同じです。
椿を助けることを、手伝っていると認識しないまま自然と助けてくれている、そういう関係が成り立っているのだと思います。
だから、周りから『お世話している』ようにみえても、椿はそれで良いのです。
きっと本人同士でもそう『お世話している』『お世話されている』と、感じることはあると思います。
でも、それはお互いにとって『当たり前』のことなのだと思います。
だから、椿はその子たちのことを親友だと思えることができ、口に出してそう言えるのでしょう。
だけど、他の同級生からすると椿は『お世話してあげる対象』であって、友人としては見てもらえなかったのかもしれません。
この学校生活で椿が心を開き「〇〇ちゃんがいるから学校に行きたい」と言って、辛くても学校に行ける日があったこと、学校に行ってたくさん話しをしたり、その子のお陰でみんなの輪の中に入れてもらえたりしたことで、椿が普通の中学生としての思い出を作れたことは事実で、椿にとってその友人はとても大きな頼るべき存在であったことに変わりありません。
問題点⑤コミュニケーション能力
小学6年生のときは特に体調面で心配事が多くあったので、わたしと先生でいろんなことについて話し合って決めることも多くありました。
修学旅行もわたしが付き添いをしたことで、本人の修学旅行なのに母親であるわたしに任せっきりになり、しおりもチェックせず、時間の把握もせず、準備もおろそかになっていました。
学校とのやり取りにわたしが介入し過ぎてしまってたため、「ママと先生が話しているから大丈夫」と人任せにして、自分のこととして捉えなくなっていました。
そういった経緯もあって、中学では入学当初から「娘の自立を図りたいので、なるべく先生と本人で話し合って決めてほしい」とお願いしていました。
わたしは送り迎えをするため毎日学校に行くけれど、極力学校構内には足を踏み入れず、ほかの保護者と同じ距離感で過ごせることを望みました。
はじめのころは、先生と本人でお互いに探りながらコミュニケーションを取れているようで、先生方も椿を気にかけて丁寧に接してくれている様子でした。
はじめて問題が起きたのは、入学してすぐの5月に行われた宿泊研修のときでした。
このときも小学校での宿泊の話を基盤に、保護者の付き添いなしで過ごせるように配慮して話し合いを進めてくれましたが、帰ってきてすぐに「宿泊研修での本人の態度が悪かった」と先生方からご立腹の報告を受けました。
『しおりの内容を全く理解しておらず、次の行動を把握していない。時間を守れない。集団行動を意識できていない。体調が良くないと言って行事に参加する意思がみられない。先程まで体調が優れなかったはずなのに自分が興味のあることには積極的に参加する。』
小学校の修学旅行と同じ結果になりました。
このときは気がついていませんでしたが、発達障害の特性が思いっきり出てしまっていたようです。
わたしも先生も発達障害など疑っていなかったので、今後このようなことにならないように厳重注意を受けました。
その後も、中学校生活を送るなかでだんだんと椿のできないことが明確になっていきました。
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2-10 ①命のカウントダウン
2-11 ①最期の14日間-1
3-1 ①病気と共にある生活とは
3-2 ①闘病と家族の在り方
3-3 ①医療との関わり
⑧教育との関わり
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