第3章3-5⑭教育との関わり
早島支援学校の見学へ 2020/10/27
この前後に連絡を取っていた、保健師やかかりつけ医のソーシャルワーカー、訪問診療の先生、訪問看護師、みんな心配して連絡をくれたり、こちらから助けを求めて連絡したり、来年度の椿の進学先についてたくさんの方が親身になって考えてくれました。
でも、なかなか決められず、もう決断するまでに日にちがないこともあり、早島支援学校への見学をダメ元で申し込んでみたところ、こころよくOKをもらい椿と早島支援学校へ2度目の見学に行くことになりました。
小学6年生になる前に、初めて早島支援学校の学校説明会に参加してから2年が経っていましたが、当時対応してくれた教頭先生がおられて椿のことを覚えてくれていました。
そのこともあり、話はスムーズに進みました。
このころには、椿も自分の進学について真剣に向き合うようになっていました。
自分で手帳に質問事項を書いてきていて、先生に自分から気になることを質問できていました。
給食はどんな感じか?
保健室は1日に何回利用可能か?
教室は何階にあるのか?
保健室に酸素があるのか?
発達障害のことまでみてくれるのか?
校外授業はどうなるのか?
どんな行事があるのか?
スクールバスは利用できるのか?
車椅子は利用できるのか?
母のお迎えが遅くなったときに待たせてもらえる場所があるのか?
と、かなり具体的に、今の学校と比較して自分の希望も交えながら考えられた質問でした。
これには先生方も感激して褒めてくださいました。
お話を聞いて、先生方の対応も優しく、じゅうぶん配慮してもらえる環境だと思えました。
ただ、同級生のみならず、現在中等部に生徒が1名もいないという大きな問題は残りました。
決断の時 2020/10/28
椿の未来の選択を、椿と一緒に悩みに悩んだ1ヶ月間。
迎えた朝に椿が出した決断は「早島支援学校に行く」でした。
昨日の見学で好印象だったことが大きな要因です。
歓迎されていない場所と歓迎されている場所、どちらに行きたいですか?と聞かれたら、もちろん歓迎されている場所の方が良いですよね。
たとえ歓迎されていなくても、そこに断固として譲れないものがあるとしたら、そちらを選ぶでしょう。そう思ってやってきた2年間でした。
でも、このとき、正直わたしも椿も疲れていました。
寄り添ってもらいたいと訴え続け、食い下がってきて、追い払われているような感覚すら覚えてしまったのです。
学校との信頼関係は大事です。
教育者たちに寄り添ってもらえないのであれば、わたしたちが望む未来は叶わない夢となってしまう。
病気でじゅうぶん戦っている椿をこれ以上苦しめたくはなかったのです。
理解してもらえず、泣きながら過ごすかもしれない未来よりも、少しでも笑って過ごせそうな窮屈でない未来のほうが希望に満ちています。
中学2年生で、自分の未来と向き合い一生懸命考えて進路を決めた椿の意見に賛同しながらも、正直なところ諦めきれず、まだ決めかねていた早朝に訪問看護師から電話がありました。
「最後のさいごまで希望を捨てる必要はない。選択はまだ自由にできる」という応援の内容でした。
とても心強かったです。
その後、ソーシャルワーカーも相談員も心配の連絡をくれました。
多くの方に心配してもらえて、それだけでわたしたちはじゅうぶん幸せでした。
この先なにかにつまずいても、こうして親身になってくれる人がいるということを知ることができた良い体験でした。
ここで出した答えが最終決定ではなかったにせよ、学校に対して一度出した答えが周知されてしまうのは事実です。
「友達と一緒に過ごしたい」と言っていた椿のことを想うと苦渋の選択でしたが、「早島支援学校を希望します。」と担任に伝えました。
スクールカウンセラーと学校 2020/11/6
発達障害が発覚したあとすぐに、スクールカウンセラーの先生に電話で「椿に発達障害の診断が付いた」と報告をしていました。
コロナ禍だったこともあり、カウンセリングを受けるタイミングがなく、来年度の進路先問題が終わった後に予約が取れ、ようやく発達障害が発覚してからこれまでの話をすることができました。
中立な立場で話を聞いてくれ、椿の心の状況を察してくれた先生は「それはしんどかったね」と言って寄り添ってくれました。
その日をさかいに学校側は椿に理解を示し、寄り添ってくれるようになりました。
入学当初のように...いえ、それ以上に椿に丁寧に関わってくれるようになりました。
「いつでも来たい時に来たら良いよ。保健室に来て話すだけでもいいからおいで。」と。
スクールカウンセラーの先生がなにか話をしてくれたのだと察しました。
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2-10 ①命のカウントダウン
2-11 ①最期の14日間-1
3-1 ①病気と共にある生活とは
3-2 ①闘病と家族の在り方
3-3 ①医療との関わり
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